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高校無償化とは?高等学校等就学支援金とは?
高校無償化とは?
1)高等学校等就学支援金制度の対象となる学校
高校の「授業料無償化」と呼ばれている制度、正式名称は「高等学校等就学支援金制度」です。この制度は、日本国内に住所を所有する高等学校(国立・公立・私立は問わず)や高等専門学校など、対象の学校に在学する生徒に対して補助が行われる、返済不要の支援金の制度です。
2020年4月からは、私立高等学校等に通う生徒への支援金額が引き上げられ、支援は少しずつ手厚くなっています。(令和5年度・2023年)
就学支援金制度の対象となるのは、
下記の学校に在学している生徒(国立・公立・私立、いずれも可)です。
- 高等学校(全日制・定時制・通信制)
- 中等教育学校の後期課程
- 特別支援学校の高等部
- 高等専門学校(1~3学年)
- 専修学校(高等課程)
- 専修学校の一般課程(高等学校入学資格者を入所資格とする国家資格者の養成施設)
- 各種学校(高等学校入学資格者を入所資格とする国家資格者の養成施設及び告示で指定した外国人学校)
※対象となる学校種類ごとに、支給される高等学校等就学支援金の金額は異なります
(支給の上限額などの定めがある)。
ただし、以下の3つのうち
1つでも当てはまると、高等学校等就学支援金の支給対象になりません。
- 高等学校等を既に卒業または修了した者や3年(定時制・通信制は4年)を超えて在学した者
- 専攻科・別科の生徒や科目履修生、聴講生
- 一定の基準を超える収入(目安として、世帯年収が910万円以上)がある世帯の学生
2)所得要件
世帯=保護者(親などの親権者)に一定以上の所得がある場合は、就学支援金の受給対象から外れます。目安として世帯年収が910万円以上の場合は支給の対象となりません。
*共働きなどで父親・母親の両方に収入がある場合は、2人の収入の合計額(世帯での収入)が判断基準となります。
*ただし、親・高校生の子どもなどと一緒に、収入のある祖父母が一緒に暮らしていても、祖父母の所得は合算されません
*保護者が離婚している場合、実際に養育しているかではなく、親権者の収入が判断基準となります。
高等学校等就学支援金の支給金額
3)支給額は、所得額と通う学校などにより異なる
高等学校等就学支援金の額は、通っている高校や世帯収入によって変動します。
【公立高校の支給額】
全日制の国立・公立高等学校、国立・公立中等教育学校の後期課程に通う生徒は、月額9,900円(年額11万8,800円)を上限額として支給されます(このお金は、学校に直接支払われます)。
国公立高等学校の授業料は、年額11万8,800円なので、実質、授業料0円ということになります。
※ただし、授業料以外にかかる教育費については自己負担が必要です。
公立(定時制)月額2,700円/公立(通信制)月額520円/国立・公立(特別支援学校の高等部)月額400円
【私立の支給額(全日制)】
私立の学校に通う生徒の場合には、支給額が2段階になっています。
- ・世帯年収が約910万円未満の場合、
→年間11万8,800円を支給 - ・世帯年収が約590万円未満の場合、
→年間39万6,000円を支給
(ただし、通信制の私立高校の場合は年間29万7,000円が上限)
ここでの世帯年収は目安であり、実際の判定基準は、子どもの人数、両親の一方が働いているか共働きかなどにより多少変化します。
文部科学省のリーフレットが見やすいので、リンクを貼っておきます。(問合わせ先の記載もあり)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/20210317-mxt_kouhou02_1.pdf
4)手続きと受給のタイミング
手続きについては、高校に入学した年の4月に学校から案内がありますので、申請書類を学校に提出します<申請書類=申請書、親権者全員の課税証明書等またはマイナンバーを明らかにできる書類(マイナンバーカードの写しなど)など>。提出した書類をもとに、各都道府県が受給資格を確認し、受給が決定されます。
受給が決定した後、就学支援金は保護者が直接受け取るのではなく、学校が受け取って授業料にあてられます(差し引いた、残りの授業料を支払えばよい)。
その他の支援制度
5)高校生等奨学給付金
非課税世帯(年収約270万円未満)や生活保護受給世帯の場合、さらに支援があります。「高校生等奨学給付金」という制度で、教科書代や教科外活動、修学旅行費など、「授業料以外の教育費軽減のための制度」です。
世帯の収入金額、学校の種類、子どもの数によって支給金額が異なります。
例)生活保護受給世帯
国公立:32,300円(年額)/私立:52,600円(年額)
例)非課税世帯【全日制】(第一子)
国公立:117,100円(年額)/私立:137,600円(年額)
例)非課税世帯【通信制・専攻科】
国公立:50,500円(年額)/私立:52,100円(年額)
これらの給付金も、返済する必要のない支援金となっています。
※ただし、特別支援学校に通っている場合は「特別支援教育就学奨励費」があるため、この制度の対象にはなりません。
文部科学省のリーフレットが見やすいので、リンクを貼っておきます。(問合わせ先の記載もあり)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/20230317-mxt_kouhou02-5.pdf
6)地方自治体独自の制度
各都道府県、場合によっては市区町村でも独自の支援制度を設けている場合があります。国公立の授業料は国の制度「高等学校等就学支援金」で無償化できますが、私立高校は、公立よりも授業料が高いため、私立高校へ在籍する生徒に向けての支援ということです。
例)東京都「私立高等学校等授業料軽減助成金事業」
対象となる要件は、
- 保護者と高校に通う子どもが東京都に住んでいること
- 所得の目安が、年収約910万円以下でであること(所得要件)
国の制度の就学支援金と、東京都の制度である「授業料軽減助成金」を合わせ、46万9,000円を上限として受け取れます。保護者が実際に負担している授業料を軽減できる制度です。
例)神奈川県「私立高等学校等生徒学費補助金」
対象となる要件は、
- 対象となる学校に在学していること
- 親子ともに神奈川県内に住所を有すること
- 所得の要件を満たすこと
「保護者等の道府県民税・市町村民税所得割額の合算額」(※共働きの場合は合計金額)
に応じて補助の金額が決まります。授業料のほか入学金も対象となります。
(入学金)
*世帯年収の目安が270万円~750万円の場合
=10万円の補助
*世帯年収の目安が270万円未満
=21万円の補助
(授業料)
*世帯年収の目安として750万円未満が対象
=所得に応じて6万円~33万円の補助
と、なっています。
例)千葉県「私立高等学校等生徒学費補助金」
対象となる要件は、
- 対象となる学校に在学していること
- 親子ともに千葉県内に住所を有すること
- 所得の要件を満たすこと(年収約750万円未満の世帯が対象)
授業料のほか入学金も対象となっています。
(入学金)
*世帯年収の目安が350万円未満
=入学金の全額免除、又は15万円(低い方の額)
(授業料)
*世帯年収の目安が640万円未満
=月額授業料の全額から就学支援金を除いた差額を免除
*世帯年収の目安が640~750万円未満
=月額授業料の2/3から就学支援金を除いた差額を免除
(ただし上限は20,500円/月)
例)大阪府「私立高等学校等授業料支援補助金」
対象となる要件は、
- 子どもと保護者(親権者)全員が大阪府内に住所を有していること
- <私立高校生等就学支援推進校>として指定された大阪府内の私立高等学校に、受給する年度の10月1日時点で在学していること
- 国の支援制度の“就学支援金”を受給していること
- 所得の要件を満たすこと
補助の金額は、子どもの数と保護者等の所得要件(保護者等の道府県民税・市町村民税所得割額の合算額)によって異なります。
*世帯年収の目安が590万円未満であれば子どもの数に関わらず=授業料は無償
*年収590万円~800万円未満の世帯は、
→扶養する子どもが3人以上の場合=授業料は無償
→子どもが1人ならば、20万円を上限に授業料を負担すればよい
→子どもが2人ならば、10万円を上限に授業料を負担すればよい
*年収800万円~910万円未満の世帯は、
→子どもの数と所得に応じて、負担すればよい授業料の上限が決められています。
例)愛知県「愛知県入学納付金補助金」「愛知県授業料軽減補助金」
「入学納付金補助金」の対象となる要件は、
- 子どもと保護者等が愛知県内に住所を有していること
愛知県の高等学校(全日制)に通っている場合、保護者の所得要件(保護者等の道府県民税・市町村民税所得割額の合算額で判断されます)に応じて、入学料の補助金を受け取ることができます。補助の金額は所得に応じて「10万円~20万円」です。
「授業料軽減補助金」の対象となる要件は、
- 子どもと保護者等が愛知県内に住所を有していること
- 愛知県の私立高等学校(全日制、定時制)、中等教育学校後期課程に通っていること
保護者の所得要件(保護者等の道府県民税・市町村民税所得割額の合算額で判断されます)に応じて支給されます。
愛知県独自の補助金と国の就学支援金とを合計し「月額9,900円~3万5,200円」の間の金額を受け取ることができます。ただし、受け取れる補助額の上限は、実際に学校へ支払った額までです。
ここまで見てきた、東京・神奈川・千葉・大阪・愛知の「私立高校無償化」に関する制度、
いずれも国の制度「高等学校等就学支援金」とは別の制度です。各都道府県、自治体により、制度、支援の内容、申請時期なども異なりますので、詳細は各自治体の窓口、在籍する学校の窓口に問合わせてください。
(2023年)
7)各学校の奨学金・特待生・授業料減免など
学校によっては、その学校独自の「特待生制度」や「奨学金制度」を用意しています。
「特待生制度」は、「スカラシップ制度」「特別奨学生」「体育奨学生」など、各学校により名称や内容は異なりますが、入学金や授業料が減額・免除される制度です。
*対象となる要件
・中学校での成績<内申点>や模擬試験での成績、スポーツや芸術分野での活躍を元に、面接などを経て、入試の前に「特待生」として認められるもの
・入学試験を受けた結果として、成績が上位であった場合、一定の条件<入試での得点率80%以上など>を満たした場合などに「特待生」として認められるもの
など、いくつかの方式があります。
*「特待生制度」の内容
入学金のみが免除となるもの、入学金・授業料の両方が免除となるもの、授業料の一部が免除となるもの、教材費や施設費等を含め丸ごと免除となるものなどがあります。
また、減額・免除の期間については、3年間全て減額・免除であったり、1年ごとに審査があり、入学後の活動の状況に応じ、2,3年次も継続されるものなどがあります。
*「卒業生子女奨学金制度」「兄弟姉妹奨学金」
保護者が卒業生である場合の「卒業生子女奨学金制度」や、兄弟姉妹が在籍していた(在籍している)ことを条件とした「兄弟姉妹奨学金」の制度を用意している学校も多数あり、これらは「入学金の免除(又は一部免除)」などが多くなっています。
<まとめ>
個別相談や説明会など、進学を検討している学校へ連絡をする際に「就学支援金」「高校生等奨学給付金」「地方自治体独自の制度」「その学校独自の奨学金・特待生」の制度についても聞いてみましょう。どの学校にも制度に詳しい学務課の先生がいますので、より丁寧な説明を聞くことができるでしょう。