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(3)「支援教育を行う普通学校」「定時制高校(主に地方エリア)」への進学

(3)「支援教育を行う普通学校*」「定時制高校(主に地方エリア)」への進学
※〈チャレンジスクール・エンカレッジスクール(東京)/エンパワメントスクール(大阪)など〉
高校で学べる内容は?〈【公立】支援教育を行う普通学校・定時制高校(主に地方エリア)〉
高校への進学を検討するわけですが、そもそも「何のために学校へ行くのか?」と言えば、「何かを学ぶため」ということになるかと思われます。
学ぶ内容としては、
□ 英語・数学・国語などの科目を学ぶ(大学などへの進学、社会に出ていく準備として)
□ 専門的な内容を学ぶ、資格を取得する(趣味・興味の充実、将来の就職を見据えて)
□ 好きなクラブや部活、学校生活全般を通じてコミュニケーションを学ぶ(人間的成長、社会に出ていく準備として)
ということなどが挙げられます。
公立「支援教育を行う普通学校」(=チャレンジスクール、エンカレッジスクール、エンパワメントスクール、パレットスクール、クリエイティブスクールなど)と、公立「定時制高校(地方を中心に)」の共通点は、多様な背景、様々な教育的ニーズを持つ生徒、小中学校で十分能力を発揮できなかった生徒、不登校を経験した生徒への対応があるという点です。
学べる内容は、
※ 英語・数学・国語など一般科目の「学び直し」
※ 英語・数学・国語など一般科目など大学・短大への進学に向けた内容(高校の学習範囲)
※ 専門科を設置している定時制高校では専門の内容
など、各学校により大きく異なります。
進学後、どんな支援・サポートがあるか?〈【公立】支援教育を行う普通学校・定時制高校(主に地方エリア)〉
- 学習面に関するサポート
- 学校生活・コミュニケーションに関するサポート
- 環境・心理面でのサポート
3つの視点で見てみます。
学習面に関するサポート | |
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(東京) | (例)チャレンジスクール国英数の主要科目は、生徒の学習レベルに合わせた<少人数><習熟度別>の授業。漢字検定、英語検定、TOEICなどの技能検定、ボランティア活動なども学習として認められる(20単位まで認定)。 |
(東京) | (例)エンカレッジスクール学力に遅れがあっても<少人数><習熟度別>の授業で基礎から学びなおすことが可能。国英数の主要科目は、集中して学習できるように<短時間・30分授業>など。 |
公立・定時制高校 (地方を中心に) | 1日の授業時間が4時限(基本的には4年間かけて卒業)。公立であり、全国的に<多様な背景、様々な学習ニーズを持つ生徒が通うことを踏まえた体制>を整えているが、都道府県や地域、夜間制か昼間制かなどによりかなり異なる。少人数制、習熟度別、学び直しが可能な学校もある。 |
学校生活・コミュニケーションに関するサポート + 環境・心理面でのサポート | |
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(東京) | (例)チャレンジスクールスクールカウンセラー、臨床発達心理士、ソーシャルワーカーなどによる支援がある。発達障害<ADHD(注意欠陥・多動性障害)/ASD(自閉症スペクトラム障害)/LD(学習障害)>、グレーゾーンや不登校を経験した生徒も、安心して学校生活を送れるようにサポートをしている。 |
(東京) | (例)エンカレッジスクール<1クラス2人担任制>での進路指導・生活指導。きめ細かな支援体制で、発達障害≪ADHD(注意欠陥・多動性障害)/ASD(自閉症スペクトラム障害)/LD(学習障害)/グレーゾーン≫や不登校を経験した生徒を支援、将来に向けての<キャリアガイダンス>も充実、ジョブサポーターなどの外部人材も活用できる。 |
公立・定時制高校 | 学習面でのサポート同様、都道府県や地域、夜間制か昼間制かなど、各学校でかなり異なる。スクールライフサポーターやチューターなど、学校生活を支える人員を配置している学校もあれば、そもそも少人数(1学年10名程度)で教職員がアットホームな環境を作っている学校もある。進学、就職を含め自立した社会生活に向けてのサポートがある。 |
定時制・通信制について(文部科学省<学校基本調査など>)
参考)東京都定時制高校の方針[PDF]
入試の方法は?難しい?
〈【公立】支援教育を行う普通学校・定時制高校(主に地方エリア)〉
〜入試の方法は?〜〈【公立】支援教育を行う普通学校〉
「支援教育を行う普通学校(高校)」は、東京・大阪・神奈川・埼玉などの都市部を中心に都道府県が指定している学校であり、特別支援学校高等部以外で、発達障害<ADHD(注意欠陥・多動性障害)/ASD(自閉症スペクトラム障害)/LD(学習障害)/グレーゾーン>を持つ生徒、可能性をもちながらも小中学校で十分に能力を発揮できなかった生徒などを支援するための学校で、小中学校で不登校を経験した子も対象としており、入試の方法も「公立・普通科(全日制)」などとは異なります。
ここでは全体的な傾向を見ていきます。たとえば、
入試の方法 | |
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(東京)の入試 (例)チャレンジスクール | 不登校を経験した生徒も対象 ・<内申(調査書)>の提出不要 ・<学力検査>も実施しない ・高校入学後の意欲をはかるための<志望申告書>、<面接と小論文(作文)>での入学試験 |
(例)エンカレッジスクール (東京)の入試 | ・<学力検査>は実施しない ・<内申(調査書)>と<面接と小論文(作文)>での入学試験 |
パレットスクール(埼玉) の入試 | 不登校を経験した生徒、発達障害<ADHD(注意欠陥・多動性障害)/ASD(自閉症スペクトラム障害)/LD(学習障害)/グレーゾーン>を持つ生徒の受け入れを前提としていますが、他の県立高校と同様に、 ・<学力検査>を実施 ・<内申(調査書)>と<面接>での入学試験 |
となっています。
〜入試の難易度は?〜〈【公立】支援教育を行う普通学校〉
「支援を行う普通学校(高校)」の入試の難易度は、いずれの学校も、中学校での成績などよりも、この先、未来に向かって「意欲的に学校生活を送ろうとする本人の意志を尊重する」という傾向があります。まだ設置校が少ないこともあり、応募倍率が1.0倍を超える学校が多々あり、入試の方法、応募の状況に関して、中学校の先生との相談は重要度が高いと言えます。
入試の方法は?〈【公立】定時制高校(主に地方エリア)〉
「公立・定時制高校」に入学するための<学力検査>は、英語、国語、数学の3教科での実施が多く、<面接>が実施されることが多いです。一部の高校では<学力試験>で理科・社会も実施しており、<作文>を課す学校もあります。
〜入試の難易度は?〜〈【公立】定時制高校(主に地方エリア)〉
「公立・定時制高校」の入試の難易度は低めです。元来、昼間働きに出ている人(勤労青少年)が高校卒業の資格を取得するために通う学校(仕事と学業の両立)であったことや、現在では不登校を経験した生徒(39.1%)、特別な支援を必要とする生徒(20.1%)が通っていることからもわかるように、様々な背景を持つ生徒の受け皿としての役割があり、多くの生徒に門戸が開かれています。
参考)卒業後の進路は?〈【公立】支援教育を行う普通学校・定時制高校(主に地方エリア)〉
卒業後の進路 (例)チャレンジスクール(東京5校・2019年) | 割合 |
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大学・短大・専門学校への進学 | 学校により50~60% |
就職 | 学校により10~20% |
卒業後の進路 (例)エンカレッジスクール(東京6校・2019年) | 割合 |
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大学・短大・専門学校への進学 | 学校により25~70% |
就職 | 学校により25~70% |
となり、進学と就職の割合が、各学校により大きく異なります。
進学を重視しているか、就職を重視しているかの傾向がはっきりしているということですので、それぞれの学校のデータを見る必要があります。
卒業後の進路 公立・定時制高校(主に地方中心) | 割合 |
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何らかの形で進学する生徒 | 32.5% |
┗ 大学・短大・専門学校への進学 | 13.8% |
┗ 専修学校などへの進学 | 18.7% |
就職 | 30.4% ※工業や商業など、専門学科を設けている定時制高校では、就職が45.5%と高くなる |
また、特筆する点としては、チャレンジスクールやエンカレッジスクールの設置されていない、地方の「公立・定時制高校」で、就労に力を入れている学校などでは、就職率90%を超える学校もしばしば見受けられます。
参考)〈まとめ〉
学べる内容/進学後のサポート/入試の方法/卒業後の進路を見てきました。公立の「支援教育を行う普通学校(高校)」「定時制高校(主に地方エリア)」への進学に関しては、各学校への応募状況との兼ね合いなどを含め、在籍中学の先生との相談が重要ということになります。
私立高校・通信制サポート校・高等専修学校に関しては、保護者(生徒本人)が自分で調べながら、積極的に動いていくことが重要となります。


最後に、子どもたちの成長と直接の関係はないけれど重要な、学費に関する内容も大まかに記載しておきます。
学費はどれくらい?
〈【公立】支援教育を行う普通学校・定時制高校(主に地方エリア)〉
学費というと、授業料のみをさす場合もありますが、ここではもう少しリアルに、授業料以外の費用(教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費、修学旅行費、通信費等)を含めた、「年間の教育費」を見ていきます。
まず、「年間の教育費」は下記となっています。
公立高校の学校教育費 | 私立高校の学校教育費 |
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約31万円 | 約75万円 (各学校により、大きな差がある) |
ほか、学費に関連する内容として、「高校無償化」と呼ばれているもの、制度を2つ紹介しておきます。いずれも返済不要の支援金・給付金です。
① 高等学校等就学支援金 | ② 高校生等奨学給付金 |
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年収の目安・約910万円未満が対象 | 生活保護受給世帯・非課税世帯が主な対象 |
① 「高等学校等就学支援金制度」
高校無償化は、公立高校・私立高校のどちらに通う生徒でも対象となります。全日制、定時制、通信制も問われません。この制度(高等学校就学支援金)は、高校に通う生徒(保護者)が、原則、高校入学後に高校を通じて国に申請を出すことで受け取れる「返還不要の支援金」です。
② 「高校生等就学給付金」
さらに、<非課税世帯・生活保護受給世帯>を対象に、「高校生等就学給付金」という制度もあり、「返還不要の給付金」になっています。
各都道府県の問い合わせ窓口のリストを下記に掲載しておきます。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/detail/1353842.htm
もう少し詳しく知りたいという方は、下記の記事も参考にしてみてください。
