(4)「特別支援学校高等部(職業コース)」への進学

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(4)「特別支援学校高等部(職業コース)」への進学

高校で学べる内容は?〈特別支援学校高等部(職業コース)〉

高校への進学を検討するわけですが、そもそも「何のために学校へ行くのか?」と言えば、「何かを学ぶため」ということになるかと思われます。

学ぶ内容としては、

□ 英語・数学・国語などの科目を学ぶ(大学などへの進学、社会に出ていく準備として)
□ 専門的な内容を学ぶ、資格を取得する(趣味・興味の充実、将来の就職を見据えて)
□ 好きなクラブや部活、学校生活全般を通じてコミュニケーションを学ぶ(人間的成長、社会に出ていく準備として)

ということなどが挙げられます。

進学後、どんな支援・サポートがあるか?〈特別支援学校高等部(職業コース)〉

  • 学習面に関するサポート
  • 学校生活・コミュニケーションに関するサポート
  • 環境・心理面でのサポート

3つの視点で見てみます。

学習面に関するサポート
国語や数学といった科目の学習もありますが、作業学習・実習が多く、1年生の段階から外部への職場実習を行うなど、実践的な内容が多い。こうした就労に向けての内容に関して、それぞれの障害の特性を踏まえ、適性を見ながらの指導があります。
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学校生活・コミュニケーションに関するサポート
+ 環境・心理面でのサポート
基本的には一般就労(※障がい者雇用枠での就労が多い)を目指しているため、働くことへの意識の向上、自分自身の得意・不得意、職種への適性の理解(障害特性のプラス面を生かす)、コミュニケーション面ではソーシャルスキル、社会人としての振る舞いなどを身に付けていく方向でのサポートが強く、職業的自立・社会的自立へ向かうサポートがあります。

入試の方法は?難しい?
〈特別支援学校高等部(職業コース)〉

〜入試の方法は?〜

「特別支援学校高等部」(職業コース*名称は都道府県により異なる)の入試は、<学力検査><内申(調査書)><作文と面接>で行われることが一般的です。都道府県や学校により、実技検査や作業能力検査を行うこともあります。

特別支援学校中学部からの受験や中学校で特別支援学級に通う生徒の受験者も多く、事前に高校の学校説明会へ参加することが入試を受験する条件になっていることもある。

学力検査国語と数学の2科目が中心ですが、特徴として、生活の中で使用する時計や暦、買い物とお金を題材にした問題や、イラスト・図を見ながら設問に答えるものなども出題されることが多い。

*都道府県により学校名称は「高等養護学校」「高等支援学校」/コースの名称は就業技術科・職能開発科・職業学科・しごと総合科など

〜入試の難易度は?〜

<学力検査>に関しては、おおむね小学校の普通級で学習する程度の内容ですが、社会生活や職業生活に必要な基礎学力の測定、面接や作業能力の検査での意欲・態度・集中力、指示に耳を傾けられるかなどを含めての総合的な試験ということになります。

  • 総合的な合否判定であること
  • 応募の倍率が1.0倍を超える人気の学校(コース)もある(=不合格になる可能性がある)
  • 受検の条件に事前の学校説明会への参加が含まれる

などを踏まえると、地域の状況・実態を把握している人=通っている中学校の先生への相談が重要となります。

卒業後の進路は?〈特別支援学校高等部(職業コース)〉

特別支援学校高等部の<普通科><職業コース>を合わせての卒業後の進路は、下記となっています。

特別支援学校高等部の〈普通科〉〈職業コース〉を合わせての卒業後の進路割合
大学・短大(職業訓練校などを含む)への進学1.7%
就職(障がい者雇用枠を含む)32.0%
社会福祉施設等への入所・通所60.7%

「職業系コース」に限ると、卒業後の進路は、地域差や景気の影響はあるものの、全国的に就職率75%以上(障害者雇用枠を含む)が達成されているようです。
都道府県によっては、職業系コースの就職率は90%以上という地域もありますし、学校別に見ると、3年間での平均の就職率が95%以上という学校も多々あります。

参考)学校基本調査・卒業後の状況調査・2020年度(政府統計)

〈まとめ〉

学べる内容/進学後のサポート/入試の方法/卒業後の進路を見てきました。公立高校への進学に関しては、内申との兼ね合いなどを含め、在籍中学の先生との相談が重要ということになります。

私立高校・通信制サポート校・高等専修学校に関しては、保護者(生徒本人)が自分で調べながら、積極的に動いていくことが重要となります。

最後に、子どもたちの成長と直接の関係はないけれど重要な、学費に関する内容も大まかに記載しておきます。

学費はどれくらい?〈特別支援学校高等部(職業コース)〉

学費というと、授業料のみをさす場合もありますが、ここではもう少しリアルに、授業料以外の費用(教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費、修学旅行費、通信費等)を含めた、「年間の教育費」を見ていきます。

まず、「年間の教育費」は下記となっています。

公立高校の学校教育費私立高校の学校教育費
約31万円約75万円
(各学校により、大きな差がある)
公立高校・私立高校:年間教育費比較

参考)令和3年度子供の学習費調査の結果(文部科学省)

ほか、学費に関連する内容として、「高校無償化」と呼ばれているもの、制度を2つ紹介しておきます。いずれも返済不要の支援金・給付金です。

① 高等学校等就学支援金② 高校生等奨学給付金
年収の目安・約910万円未満が対象生活保護受給世帯・非課税世帯が主な対象
公立高校・私立高校:年間教育費比較

① 「高等学校等就学支援金制度」
高校無償化は、公立高校・私立高校のどちらに通う生徒でも対象となります。全日制、定時制、通信制も問われません。この制度(高等学校就学支援金)は、高校に通う生徒(保護者)が、原則、高校入学後に高校を通じて国に申請を出すことで受け取れる「返還不要の支援金」です。

参考)私立高校授業料実質無償化リーフレット[PDF]

② 「高校生等就学給付金」
さらに、<非課税世帯・生活保護受給世帯>を対象に、「高校生等就学給付金」という制度もあり、「返還不要の給付金」になっています。

各都道府県の問い合わせ窓口のリストを下記に掲載しておきます。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/detail/1353842.htm

もう少し詳しく知りたいという方は、下記の記事も参考にしてみてください。

公立・普通科~私立・通信制サポート校 / 6カテゴリーへの進学の様子

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