(6)私立「通信制サポート校」「高等専修学校」への進学

目次

(6)私立「通信制サポート校」「高等専修学校」への進学

高校で学べる内容は?〈私立「通信制サポート校」「高等専修学校」〉

高校への進学を検討するわけですが、そもそも「何のために学校へ行くのか?」と言えば、「何かを学ぶため」ということになるかと思われます。

学ぶ内容としては、

□ 英語・数学・国語などの科目を学ぶ(大学などへの進学、社会に出ていく準備として)
□ 専門的な内容を学ぶ、資格を取得する(趣味・興味の充実、将来の就職を見据えて)
□ 好きなクラブや部活、学校生活全般を通じてコミュニケーションを学ぶ(人間的成長、社会に出ていく準備として)

ということなどが挙げられます。

「通信制サポート校」では高校卒業資格の取得はもちろんのこと、各サポート校の方針により、
*小中学校の範囲からの学び直し
*大学・短大や専門学校への進学に向けた内容
など幅広い内容が学べます。

また、
*専門コースや様々な選択授業
*資格取得のための学習
*体験授業・実習などのカリキュラム
を用意し、

その先の進路を模索しやすい、就職を有利にするための内容を学べる学校も多数あります。

「高等専修学校」では、高校卒業の資格のほか、
*それぞれの専門に関する内容
*資格の取得や知識・技術の習得
など、
専門分野への進学・就職に有利となる内容を学べます。

進学後、どんな支援・サポートがあるか?〈私立「通信制サポート校」「高等専修学校」〉

  • 学習面に関するサポート
  • 学校生活・コミュニケーションに関するサポート
  • 環境・心理面でのサポート

3つの視点で見てみます。

学習面に関するサポート
 一般科目は習熟度別・少人数での授業を取り入れている学校が多い
 小中学校の範囲からの学び直しなど、個別の対応をしている学校も多い
 大学進学に向けての学習をサポートする、予備校的な学校も多い
 資格取得や校外での実習を通じ、就職・社会的自立をサポートしている学校もある

 専門の環境・機材を用意し、各専門の内容に関して実習を通じてのサポート
 ほとんど全ての学校が資格取得や専門技術の習得により、就職をサポート

*いずれも高校卒業資格を取得するまでのサポートがある
「通信制サポート校」/ 「高等専修学校」>
学校生活・コミュニケーションに関するサポート
 多くの学校で、通う日数が選べる(後から変更も可能)
 少人数クラスを取り入れている学校が多い
 イベント・学校行事に関しては、自由参加や参加の方法を選べる学校が多い
 教職員が、生徒同士のコミュニケーション面もサポートをしていることが多い

 専門に関する実習が中心となるため、先生と生徒の距離が近いことが多い
 同じ専門分野に興味を持つ生徒が集まっている
「通信制サポート校」/ 「高等専修学校」>
環境・心理面でのサポート
 教職員が心理学・カウンセリングを学んでいる割合が高い
 生徒との定期面談や保護者との連携も重視しているという学校が多い
 スクールカウンセラーが常駐していることが多い
「通信制サポート校」/ 「高等専修学校」>

全体の72%の「通信制サポート校」では、在籍者の50%以上が不登校経験者であり、「高等専修学校」には不登校を経験した生徒が20%、発達障害を持っている生徒が18%在籍している。いずれも、不登校経験者、発達障害を持つ生徒への、受け入れ・サポート体制を整えている学校が多いことがわかります。

入試の方法は?難しい?
〈私立「通信制サポート校」「高等専修学校」〉

〜入試の方法は?〜

「通信制サポート校」「高等専修学校」の入試は、<書類専攻>と<面接>のみ中学校の<内申(調査書)>は不問、<学力検査>なしというのが一般的です。

*学校によっては<作文>の実施などもありますが、入試の前にテーマが伝えられ、生徒が予め準備を整えて取り組める形にしていることが多い。
*<学力検査>を実施する学校もありますが、合否の判定のためではなく、入学後に向けて、その時点での生徒の学力を確認するためのものという位置づけ。

※これらの条件を見てみると「通信制サポート校」「高等専修学校」は、中学校の特別支援学級からも進学可能な学校が多いことがわかります。

〜入試の難易度は?〜

入学へのハードルは低めです。発達障害を持っている生徒、不登校を経験した生徒の高校卒業をサポートするという面も強くあり、多くの生徒に門戸が開かれています。また、面接や入試を通じてのやり取りを、「生徒に自信を持ってもらうこと」、入学後の学校生活をよいものにしていくための「先生と生徒(保護者)の関係づくりの機会」としている学校も多く見受けられます。

卒業後の進路は?〈私立「通信制サポート校」「高等専修学校」〉

「通信制高校のみ」の場合の卒業後の進路
(サポート校なし)

「通信制高校のみ」で進んだ場合の、卒業後の進路は、およそ下記の通りです。
※各学校が特色を出しながら運営しているため、それぞれの学校で大きく異なります。

通信制高校のみで進む場合
(サポート校を利用しない場合)の進路
進路決定率
就職25%(公立)/25%(私立通信制)
大学・短大、専門学校への進学25%(公立)/45%(私立通信制)
進路未決定(浪人生などを含む)40~50%(公立)/30%(私立通信制)

「進路未決定の人」の割合が、公立で40~45%、私立でも30%程度、その後の進学・就職に向かう浪人生を含むとしても、やや多いと言えるかと思われます。

参考)通信制課程の卒業後の進路(文部科学省 P14)[PDF]

「通信制サポート校」の卒業後の進路
(サポート校に通った場合の卒業後)

「通信制サポート校」の卒業後の進路進路決定率
例1)進学をメインにしている学校進学のみで95%
例2)進学と就職にも対応している学校進学と就職で90%
例3)専門科目のコースを用意している学校専門の内容での進学と就職で95%
例4)進学であれ就職であれ、本人のコンディションを大事にしながら、場合によっては卒業後まで関係を保ちながらサポートをしてくれる面倒見のよい学校

「通信制高校のみ」の場合と比べると、「通信制サポート校」の卒業後の進路決定率は、大幅に上がります。また、卒業後のサポートを用意している学校があることなども特徴的です。

「高等専修学校」の卒業後の進路

「高等専修学校」の卒業後の進路進路決定率
専門分野への就職がメインの学校就職のみで90~100%
専門分野への進学と就職がメインの学校進学と就職で95~100%

「通信制高校のみ」の場合と比べると、「高等専修学校」の卒業後の進路決定率は、大幅に上がります。<就職>と<進学>の比率は学校によりますが、全体として<就職>に強いことが明らかです。

〈まとめ〉

学べる内容/進学後のサポート/入試の方法/卒業後の進路を見てきました。いずれも大事な内容ですが、ここで見てきた内容は、私立「通信制サポート校」「高等専修学校」の全体の傾向に過ぎません。

個性的な学校が多い「通信制サポート校」「高等専修学校」、具体的に一つひとつの学校を見て、「子どもに合いそうな学校」=「進路候補」を見つけていきましょう。私立高校・通信制サポート校・高等専修学校の入試に関しては、保護者・生徒本人が自分で調べながら、積極的に動いていくことが重要です。下記一覧もご活用ください。

最後に、子どもたちの成長と直接の関係はないけれど重要な、学費に関する内容も大まかに記載しておきます。

学費はどれくらい?〈私立「通信制サポート校」「高等専修学校」〉

学費というと、授業料のみをさす場合もありますが、ここではもう少しリアルに、授業料以外の費用(教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費、修学旅行費、通信費等)を含めた、「年間の教育費」を見ていきます。

まず、「年間の教育費」は下記となっています。

公立高校の学校教育費私立高校の学校教育費
約31万円約75万円
(サポート校は年間35万円程度~各学校による)
公立高校・私立高校:年間教育費比較

参考)令和3年度子供の学習費調査の結果(文部科学省)

ほか、学費に関連する内容として、「高校無償化」と呼ばれているもの、制度を2つ紹介しておきます。いずれも返済不要の支援金・給付金です。

① 高等学校等就学支援金② 高校生等奨学給付金
年収の目安・約910万円未満が対象生活保護受給世帯・非課税世帯が主な対象
公立高校・私立高校:年間教育費比較

① 「高等学校等就学支援金制度」
高校無償化は、公立高校・私立高校のどちらに通う生徒でも対象となります。全日制、定時制、通信制も問われません。この制度(高等学校就学支援金)は、高校に通う生徒(保護者)が、原則、高校入学後に高校を通じて国に申請を出すことで受け取れる「返還不要の支援金」です。

参考)私立高校授業料実質無償化リーフレット[PDF]

② 「高校生等就学給付金」
さらに、<非課税世帯・生活保護受給世帯>を対象に、「高校生等就学給付金」という制度もあり、「返還不要の給付金」になっています。

各都道府県の問い合わせ窓口のリストを下記に掲載しておきます。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/detail/1353842.htm

各都道府県・自治体による独自の支援制度(「私立高校無償化」など)
各都道府県(場合によっては市区町村単位でも)も、国の制度とは別に独自の支援制度を設けています。国公立の高校と比べ、私立の高校は授業料が高いため、私立高校へ在籍する生徒に向けての支援し、経済的な理由で私立への進学を諦めずに済むようにという方針です。

支援を受け取る条件となる「世帯の収入の要件」や、実際に支給される金額は各都道府県により異なります。

その他の学費負担軽減の制度
上記のほか、学校によっては、

・これまでのスポーツなどでの活動実績、成績の優秀さなどを条件に<特待生制度>
・保護者が卒業生である場合の<卒業生子女奨学金制度>
・兄弟姉妹が在籍していた(在籍している)ことを条件とした<兄弟姉妹奨学金(入学金の減免など)>

を用意している場合があります。

進路として、私立高校、通信制サポート校、高等専修学校を検討している場合は、各学校との個別相談や学校訪問の際に「就学支援金」「奨学金」「特待生の制度」についても聞いてみましょう。

もう少し詳しく知りたいという方は、下記の記事も参考にしてみてください。

公立・普通科~私立・通信制サポート校 / 6カテゴリーへの進学の様子

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